川と海を行き来するウナギ
前回のブログで、ウナギの事を書いたが、ウナギの生態について全く記載するのを忘れていた。
ウナギの生態は、通常の淡水魚、海産魚と異なり、非常に変わっている。
ウナギは、グアム島やマリアナ諸島の西側沖の水深2000mのマリアナ海嶺スルガ海山で産卵していることを元東大海洋研究所の塚本教授が明らかにした。
資源量から考えると、他の水域でも産卵しているかもしれないが、現在のところ不明である。
親ウナギは、川で成長した後、海へ移動して産卵する。
産卵後の親ウナギが元々生息していた川に戻るのかどうかは、まだ不明である。
その後、ウナギの受精卵は海でふ化した後、プレレプトケファルス→レプトケファルスという形態に変化する。
笹の葉っぱのような形と言えば分かりやすい。
ウナギがレプトケファルスの段階の際、まだ遊泳力がない。
科学者が仮定しているのが、その葉っぱのような形態を利用して、北赤道海流の流れに乗り、フィリピンの方まで流れていき、その後、黒潮の流れに乗りつつ、シラスウナギへと形態が変化していく、というものだ。
シラスウナギになったウナギは遊泳力があるため、黒潮の流れに乗りつつ、中国や台湾、日本の川に遡上してくるというのが、現在分かっているウナギの生態である。
つまり、海で生まれる→形を変えつつ川に遡上→川で成長→親になったら海に遡行してで産卵
というサイクルを繰り返しているのである。
この複雑な生態が、ウナギの完全養殖を難しいものにさせている。
親ウナギにまで生育させ、産卵させることは、性ホルモンを注射すれば陸上でも可能である。
しかし、問題はその後、深海で生息しているレプトケファルスの水圧を人工的に作らなければならない。
また、レプトケファルスが何を食べて成長していくのか、というのも長年不明であった。
現在は、サメの乾燥卵の粉末を与えることで生育することが分かっているが、果たしてその他の餌を捕食しているかどうかも不明である。
不明な点だらけではないか、と思うかもしれないが、ここまで判明するのに数十年かかっている。
それ故に、シラスウナギの採り過ぎを規制する必要があるし、親ウナギの採捕を規制する、という資源管理が必要なのである。